ペルチェ素子の発熱と冷却、そして発電ができる仕組みについて解説

キャンプ・防災

いきなりですが、ペルチェ素子を知っていますか?

実はペルチェ素子というのは直流電流を流すことにより冷却(吸熱)と発熱(放熱)を行う事ができる半導体素子です。
このペルチェ素子の冷却、発熱の効果を利用した製品としてパソコンのCPUクーラーや小型冷蔵庫、飲料の保温庫や首に装着するネッククーラーなどがあります。

また、このペルチェ素子は温度差により発電することもでき、温度差を利用して発電する製品としてBioLite(バイオライト)のキャンプストーブ2などがあります。

のぞみ
のぞみ

キャンプストーブ2の記事で出てきたわね

ネコぷにゅ
ネコぷにゅ

キャンプストーブ2もペルチェを

使って発電しているのだ

キャンプストーブ2は下の記事で解説。

今回はこのペルチェ素子がどういう仕組みで冷却と発熱、発電を行うのか解説します。

ペルチェ素子とは

おさらいになりますが、ペルチェ素子というのは直流電流を流すことで吸熱と発熱を行う性質を持った電子部品です。

のぞみ
のぞみ

電気を使うと熱くなるけど

冷たくなるって聞いたことないわよ

ネコぷにゅ
ネコぷにゅ

知らないだけで実はペルチェを

使った製品はいっぱい出回ってるんだよ

一般的にペルチェ素子と呼んでいますが、正確にはペルティエ素子が正式な名称(呼び方)です。というのは原理を発見した学者名「ジャン=シャルル・ペルティエ」にちなんでいるからです。

形状としては下記の写真のように板状になっていて、ペルチェ素子から伸びている配線にプラスとマイナスの直流電流を流すことで、ペルチェ素子の片面が冷たく、裏の面が暖かくなります。

ペルチェ素子外観

この表の面から裏の面へ熱が移動する現象を「熱移動現象(ヒートポンプ)」といいます。

ペルチェ素子に流す電気の量を変えると熱移動の量も変化させることが出来、プラスとマイナスの向きを変えれば吸熱と放熱の面を変えることもできます。

この働きは「ペルチェ効果」と言われ、ヒーターやコンプレッサーなどが無くても簡単に「冷やす」「温める」といった温度制御が可能となっています。

ペルチェ素子の仕組み

それでは、なぜペルチェ素子に電流を流すと吸熱と放熱ができるのかその仕組みを解説します。

のぞみ
のぞみ

そこが知りたいのよ

2種類の金属の接合部へ電流を流すと、片方の金属から片方の金属へ熱が移動する現象が起こります。

N型半導体とP型半導体に直流電流を流して電位差をつけると、N型半導体の電子は高い方から低い方へ、P型半導体の正孔は低い方から高い方へ移動します。N型半導体とP型半導体を接合している金属面で電子と正孔の増減が温度差となります。

これをペルティエ効果と言います。

電圧を高くして電位差を大きくすると増減の量も大きくなり、より大きな温度差が生まれます。電圧の増減で温度調整できるのもペルチェの特徴です。

ただし、そのままでは放熱が冷却側に伝わるため冷却側も熱くなってしまいます。ペルチェ素子を冷却装置に組み込む場合には、放熱側の熱をうまく逃がしてあげる必要があります。

図で表すと下の図のようになります。

(Wikipediaより)

この図に電気のプラスとマイナスの接続を加えたものが下の図になります。

ペルチェ素子図解1

上の図を立体的にしたのが下の図になります。

ペルチェ素子図解

別の解説ページから分かり易い図を拝借。

ネコぷにゅ
ネコぷにゅ

ペルチェに電池を繋げると片面は数秒冷たく

なるけど、そのままだとすぐに温くなるよ

ペルチェ素子で発電

ペルチェ素子に電流を流すと吸熱と放熱を行う仕組みは(なんとなく)分かりましたね。

では発電が出来るというのはどういう仕組みなのでしょう。

Wikipediaで調べると、吸熱量は以下の式で表されるようです。

ここで、πc = (αpn)Tcはペルティエ係数、αp, αnゼーベック係数Tcは素子の低温側温度、Rは抵抗、Iは電流、Kは熱コンダクタンス、ΔTは高温側と低温側の温度差である。

ペルティエ素子の性能は最大吸熱量Qmax、最大電流Amax、最大電圧Vmaxで表される。印加電圧が大きくなると発熱量が増えて冷却効率が悪くなるため、最大電圧の50-60%が最適電圧といわれる。

つまり、吸熱量というのは電流、電圧、抵抗値、素子の高温と低温の温度差によって決定するということで、式を入れ替えると、素子の温度差があれば電流と電圧が取り出せるということなのでしょう。

ペルチェ素子に温度差を与えて電圧が生じることをベーゼック効果と言います。

ネコぷにゅ
ネコぷにゅ

温度差で電子と正孔を移動させてやれば

電気が流れるということかな?

ペルチェ素子のメリットとデメリット

次はペルチェ素子のメリットとデメリットについてです。

まずメリットとして挙げられるのは

  • 小型、軽量
  • 形状が自由に設定できる
  • 冷却時にコンプレッサーや冷媒を使用しない
  • 稼働部品が無いので振動が無く静穏
  • 加熱、冷却の即効性
  • 極性を変化させることで加熱、冷却の変化が可能
  • 電気配線のみなので扱いが簡単
  • 温度制御が比較的簡単

など、個人で工作レベルで冷蔵庫などが作れる程、扱いが簡単です。

逆にデメリットとしては

  • 冷蔵庫やクーラーとして使用ならパワフルさに欠ける
  • 結露が発生する場合があり電気機器を直接冷却するのは多少リスクがある

などがあります。

ペルチェ素子の用途

ペルチェ素子の使い道についてです。

当たり前ですが、ペルチェ素子を大量に使用してもエアコンのように部屋を冷やすことはできませんし、ペルチェ素子の表と裏で熱移動しているだけなので冷やしたぶん熱を発生します。

逆に電気抵抗のぶん熱量が多くなります。

ペルチェ素子はパソコンのCPUを冷やすためのCPUクーラーとして一時はやりました。

通常CPUにはヒートシンクという熱伝導率の高い部品を取り付け、ファンの風によって冷やす空冷式が一般的です。その場合、CPUの熱で熱くなったヒートシンクに周囲の空気を当てて冷やすため、周囲の温度以下には冷やせません。

しかし、ペルチェ素子で冷やした場合、周囲の温度以上に冷やすことができるのでヒートシンクが冷たくなると場合によっては結露が生じ、電子機器をショートさせてしまう危険があります。

また、CPUそのものの性能の良くなり、CPUをクロックアップして使用する人も減ってきたため最近は取り付ける人は少なくなりました。

それより、数年前からは冷却グッズとして首に当てるネッククーラーとして使用する製品が出始めました。

また、仕組みがシンプルにできるので小型の冷蔵庫なども出ています。

ペルチェ素子の値段

こんなに便利なペルチェ素子ですが、一体どれくらいの値段なのでしょう。

のぞみ
のぞみ

これだけ便利だと相当お高いのでは?

電子工作部品などを売っている秋月電子通商で値段を調べると、40mm x 40mmで880円。55mm x 55mmだと2,200円です。

楽天では40mm x 40mmで480円程度なのでそれ程高額な電子部品ではありませんね。


ミニクーラーや発電機を自作する場合にはまとめ買いでも良さそうです。


ペルチェ素子を使った製品

それでは、実際にペルチェ素子を使用した製品をいくつか紹介します。

ネコぷにゅ
ネコぷにゅ

こんな製品でペルチェを使っているよ

小型冷蔵庫です。

ペルチェ素子を使用しているため静穏なのは当然ですが、コンプレッサーなどの冷却装置が無い分容量を多くすることができています。


保冷保温ボックスです。

ペルチェ素子の電極を入れ替えることで冷やすことも温めることもできる製品です。デスクやベットの近くに置きたい製品ですね。


ポータブル冷温庫です。

車の電源を使用することができるのでキャンプは勿論、買い物した商品を冷やして持ち帰ることもできますし、ドライブ時に冷えた飲み物や暖かい飲み物をいつでも取り出して飲むことができます。


ネッククーラーです。

首にはめて血液を冷やすことで体温を下げることができます。首からぶら下げるファン式と違い、ペルチェ素子式は静穏です。


スマホクーラーです。

ゲームをして熱くなったスマホを冷やします。バッテリーが熱くなると劣化が早まり結果としてスマホの寿命を短くしてしまいます。スマホが熱くなる使用方法の方は使用した方が良いでしょう。


火力発電機です。

ペルチェ素子の特性を利用して、物を燃やすことで発電が可能です。キャンプや災害、停電時など、落ちている小枝などを燃やすだけで発電できるため、一家に一台はあってもいい製品と思います。


キャンプストーブ2下の記事にて紹介していますので興味があれば読んでください。

のぞみ
のぞみ

キャンプストーブ2は別の記事で

詳しく紹介したから知ってるわよ

まとめ

ペルチェ素子がどういうものかお伝えできたでしょうか?

ネコぷにゅもペルチェ素子は昔から興味があり、バイオライトのキャンプストーブ2は迷わず購入してしまいました。

ネット上ではペルチェ素子を使った発電機を工作している人も多数いますので興味がある方は検索してみてください。

ネコぷにゅは自身の体温を利用した発電機がきればいいな思っています。

のぞみ
のぞみ

ありがとうございました。

ネコぷにゅ
ネコぷにゅ

ありがとうございました。

コメント

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